日経電子版の個人専用動画に震える!このパーソナライズド動画はきっと自動生成でサンデースカイのサービス使ってそう

日経新聞電子版からこんな趣旨のメールが届きました。

「お客様専用の動画をご用意しました」

具体的にはこういうやつです。

nikkei_movie_mail

真ん中の画像上部に「●●さん」とあるように、ここに自分の名前が入れられています。そして、「あなたへのメッセージ動画です」という文言。ちなみに、こちらの画像部分はgifになっていて動きがあります。

今回は、この日経電子版から送られてきた専用動画と動画の自動生成サービスについてです。

日経電子版の個人専用動画の内容

メールに記載されたURLへ飛ぶとこんな感じの画面が出てきます。

動画の長さは1分23秒。

上図は、動画の冒頭の画面ですが、ご覧の通り「●●さん」と自分の名前が冒頭に出てきます(※名前は消しています)。

そして、これは動画のテロップだけの話ではなく、ナレーションの音声でも自分の名前を呼びかけられます。

これ結構びっくりします。というのも、動画の中でプロのナレーションで自分の名前を言われる経験なんて普通ありませんから。プロのナレーションですからね。

冒頭から少し背筋の寒くなる思いをします。

その後、今度は日経電子版の契約期間を持ち出してきます。「あなたが電子版を利用して●年●ヶ月が経過しました」というテロップと音声が流れます。これは「いつもご愛顧ありがとうございます」「長期的な関係を築けていますね、私たち」と言わんばかりにそっと寄り添ってくる感じです。

続いて、オススメのカテゴリ、シリーズを紹介してきます。「●●さんは●●の仕事(職種)をされているので〜」とこんな内容がオススメですよ、と言われます。

その後「前回のご案内から半年が経ちました。お変わりありませんか」と続き、より役立つ情報提供サービスのために、住所やメールアドレス、仕事などに変更がある場合は登録情報更新よろしくねと促され、最後にこんな画面が出て動画は終了します。

この動画は一体何が目的だったのか

この動画、要は

「もう一度有料会員に戻って来いよ」

ということが言いたかったようです。

ネット上で僕と同様、専用動画が届いている人を探してみると・・・

この方が仰る通り、僕もつい最近有料会員を解約していたので、過去に有料会員だった利用者をターゲットにした動画のようです。先程書いた枕言葉の「あなたが契約して●年●ヶ月が経過」の数字は、有料会員に一番最初になったときの日付から起算されていたことから「また戻って来いよ」という意図は明らかです。

さて、この宣伝動画に少し感心したのが、終始「うざがられない配慮」がされている点。

動画の締めとして「引き続きご愛顧よろしくお願いします」といった後に、画面にある通り、有料会員切替方法を含む3つのリンクを案内するだけなんですね。ナレーションも「リンク貼っておきますからね〜」という程度で、有料会員をとくに強調していません。「また有料会員に戻って来いよ」「お得だよ」とはストレートに言わず、あくまで「最近元気ですか、お変わりありませんか」といったトーンが徹底されています。

動画はどうやって作られている?

動画には3つの利用者情報が含まれています。具体的には、①名前、②契約期間、③属性情報(仕事)の3つで、そのうち①②は一つずつ異なります。③については、ある程度パターン分けされて定型のものが入っているようですが、①②は必ず入れ替えが発生しますし、①はナレーションの音声も変えなくてはなりません。

そうすると、動画の基本シナリオはあるとしてもこの①②③の情報を個人毎に差し替えるのをさすがに人力でやっているとは考えられません。

主要紙の中で電子メディアを唯一成功させている天下の日経電子版です。無料会員を含む日経ID会員350万人、うち有料会員45万人、さらにその中で電子版単独契約者が25万人いるメディアです。今回のターゲットである「有料会員を一度でも契約したことがある無料会員」の数を仮に単独契約25万人のうち1割とみても25,000人もいます。電子版は2010年サービス開始から累計で考えると、この推計よりも多いかもしれませんが、この25,000人分も①②③を1個1個人力で入れ替えているとは考え難いです。

となると、この動画は自動生成されている可能性が高いと思っています。

自動動画生成といえばあの会社

実はこの日経電子版の動画を見て即座に思い出したニュースがありました。それがこちらのイスラエル発の動画ベンチャーのニュース。

個人一人一人向けにパーソナライズドされた動画を大量に自動生成できるプラットフォームを提供する会社「サンデースカイ」の創業者へのインタビュー記事です。ちょうど1年前ですね。

日経電子版はきっとこれを使ってるんじゃ?

瞬間的にそう思ったのを覚えています。

記事では、実際に自動生成された動画がどういうものか、バハマの複合型リゾートホテルの実例が紹介されていました。ホテル・アトランティスでは予約完了直後に予約内容とオプショナルツアーやレストランの案内をする動画(スマートビデオと呼んでいるそう)を自動生成して顧客に送っています。動画は申込者がカップルなのかファミリーなのかでレコメンドする内容は変わります。

まさに今回の日経電子版の専用動画のように、個人に向けたパーソナライズド動画を自動で大量生成できるんですね。これを見たとき、とうとう動画もよりパーソナルな動画を自動生成できる時代になったのかと思ったものです。

米国では通信キャリアが毎月の請求書に動画を使っていて、video billと呼ばれています。しかも、通信キャリア4社のうち3社がやっている程広がり方がすごいです。

つい最近、電通の触手に捕まった模様

このサンデースカイという会社を今回改めて調べてみると、なんと2016年3月に電通との協業を発表していました。

電通もさすがですね。

米国の事例が証明しているように、One to Oneマーケティングという文脈でも動画が使われるようになっていますが、これがますます浸透していくんでしょう。

【この記事の後もパーソナライズド動画について何度か書いてます↓】

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