やっぱり使われ始めたパーソナライズド動画、その動画の構成や作り方を解剖してみる

数ヶ月前にこんな記事を書いていましたが、

初めてパーソナライズド動画に触れたときの驚きを綴っておりましたら、嬉しいことにご覧になった方がご自身のサイトにこの記事をリンクしてくださった中に、なんとナレーションを担当されたご本人様がいらっしゃいました!

藤村由紀子さんというフリーアナウンサーの方で、ご自身のブログでも当方のブログを取り上げてくださっていました。ありがとうございます。

藤村さんのブログを拝見すると、ナレーション収録の苦労が垣間見えます。

それこそ何千名ものお名前を“同じテンションで”ひたすら呼びかけるという収録だったようですね。

収録ではイスラエルにいるディレクターとSkypeでやり取りしながらの収録だった模様。

イスラエルといえば、サンデースカイの創業の地です(現在本社は米国にあるみたい)。以前書いたように日本での事業展開は電通と協業しているので、日本での営業活動は全て電通、商品作りに関わる部分でイスラエルにいるサンデースカイのディレクターやエンジニアが参画するといったやり方なんでしょうかね。

やっぱり日本でも使われ始めたパーソナライズド動画

藤村さんのブログを見ると、チューリッヒ保険もパーソナライズド動画をやっていて、こちらのナレーションも藤村さんのようです。

米国の先進事例のように、保険などにやっぱり広がっているんですね。

そのうち、キャリア(docomo、au、Softbank)もやりそうですが、私が知らないだけで、もうやっているかもしれませんね。

というか、docomoは既にサンデースカイ社へ出資をしていたので確実にやるでしょう。

チューリッヒの動画もきっとサンデースカイ社が手掛けているんでしょうね。

日本発のパーソナライズド動画自動生成サービスはどうなってる?と思っていたのですが、つい最近、日本発のパーソナライズド動画プラットフォームを手掛けるクリエ・ジャパンが富士通と協業を開始したようですね。

富士通といえば、スパコン「京」を理研と作っている企業ですね。サーバなどのコンピュータを作っていたり、その上で動く業務アプリケーションも作っていたりする企業です。

クリエ・ジャパンは動画の自動生成テクノロジーを持っていますが、このテクノロジーはきっとそれなりの規模のコンピュータ処理能力を必要とするでしょうから、これを必要とする企業はサーバーも買ってくれるだろう、そういうことなんだと思います。

クリエ・ジャパンも彼らは自動生成テクノロジーがコア部分なのでエンジニアはいてもセールスは抱えていなさそうなので、販路として富士通の営業網を活かしたいんでしょう。

パーソナライズド動画の構成は決して複雑ではない

じわじわ来ている感のあるパーソナライズド動画。

何千名もの顧客ごとに個別に作られた動画であるわけで「何かすげぇなぁ」と思いますが、よくよく見ると、動画の構成、内容は決して複雑ではありません。

何千名もの多種多様なパターンの動画を自動生成しますが、素材自体には共通する部分がほとんどで、組合せのパターンがどえらく複雑というわけではないんですね。

先程取り上げたチューリッヒは実際に事故に遭った人向けに事故解決の流れを案内するものとなっていますが、この動画の内容(構成)を見ると以下の流れになっています。そのうち、★を付けた部分がパーソナライズド動画らしく、複数パターンに分かれる部分です。

チューリッヒの事故対応動画の構成

・佐藤(★1)さん、この度の事故対応の流れを紹介するね

・専任担当者が事故対応する、迅速に保険金支払いをしますから安心してね

・事故車両の搬送をどうする?指定工場を使ってくれるなら搬送費用も代車も無料で貸すよ、修理部品も正規ディーラー、純正部品使ってるから安心してね

・東京都(★2)にはこんなに指定工場があるから安心してね

・事故対応状況の確認できるWebサイトの案内(My Zurich)しとくね

・指定修理工場の案内しとくね

・事故解決の流れも詳しく見たかったらこっちのリンク見てね

・今回の事故の問い合せに必要な情報(★3)も書いとくね(証券番号、事故番号、事故日)

上記★を付けた部分が個別に素材として用意しておく必要があるわけです。そのうち、★1、★2はナレーション有り、★3は文字情報のみです。

この素材を揃えるのがどれくらいの労力でできるでしょうか。

一番大変なのは★1の名前情報(名字)のところですね。

ここはそれこそ何千名、何万名のパターンが出てくるところで、音声収録は大変です。実際に、藤村アナウンサーのブログでも何千名も収録したと書いておられました。

ちなみに、日本人の名字は全部で30万種類もあるらしいです。とはいえ、それはすごく珍しい名前も含めた総数で、上位5000種類で人口の80%をカバー上位7000種類で人口の96%をカバーできるらしいです。

さらにカバー率を上げようとしても上位10万種類でやっと人口98.5%になるくらいなので、大体7000種類やっておいて、7000種類から漏れた名字はその都度契約情報から割り出して「あれば収録する」ことになるんでしょうね。

<参考記事>
「谷谷谷さんも一口さんも 珍名お任せ、福岡のハンコ店」朝日新聞 2016/11/06
「日本人の名字は30万種類 「鼻毛」や「御手洗」も」人民網日本語版 2013/08/23

★2は、東京都という都道府県レベルの区切りであれば、47種類です。

★3は、音声収録はありませんから、事故情報のデータベースからテキストデータを引っ張ってきて挿入すればいいわけです。

そう考えれば、この★1と★2の音声素材の準備が一時的に大変ですが、それ以外はデータベースに格納しているテキスト情報を動画に差し込めばいいわけです。

この仕組みを体系化しているのが、これら動画自動生成サービスなわけです。

このようにパーソナライズド動画も今見たものは全て構成・ストーリーの設計がきちんと為されているのが基本としてあり、動画自動生成サービスがとんでもなく複雑怪奇なことをやっているわけではないのです。

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