勢いを増すIoTネットワークの主導権争い〜LoRaWANとSIGFOX、NB-IoT〜

何度か取り上げているLPWA(Low Power Wide Area)の話題です。

IoTはセンサーが生活の隅々に行き渡る世界です。

そんな未来を想像したときに、今の社会インフラとして大きくボトルネックになっているのがネットワークです。

今私たちがスマホでよく使っているLTE網(携帯通信網、携帯キャリア)というのは、あくまで人間がスマホなどを使って大容量のデータ通信用に設計されていて、無数のセンサーが収集した小さいデータをクラウドへ送るには贅沢すぎるものなのです。

IoTデバイスが送るデータはそこまで大きくないので、そんな大きなデータ送らないしスピードも遅くていいのでその分安くしてくれ、そんなネットワークが今求められていて出てきたのがLPWAというIoT向けネットワークという考え方です。

この次世代ネットワーク網の主導権争いを今回は書いておきたいと思います。

関連記事はこちらから↓

スポンサーリンク

日本はLoRaWAN先行だが、SIGFOXを扱うプレイヤーが登場

LPWAという言葉が登場したように、IoT用のネットワークが日本でも急激に整備されつつありますが、その方式には幾つか種類がありますが、そのなかで代表的なものがLoRaWANとSIGFOXです。

LoRaWANは先日も取り上げたとおり、オープンな規格であるがゆえにここ1〜2年で採用が増えている規格です。

注目するIoTベンチャーSORACOMがIoTネットワーク網を整備に積極的で彼らが推進しているのはLoRaWANのほうです。LoRaWAN事業を行うM2Bコミュニケーションズに出資しています。

一方、LPWAという言葉が出てくる前からIoT向け通信で先行していたのがSIGFOX。これは2009年創業のフランスの会社が2012年から提供しているIoT通信サービスですが、既にフランスとオランダをカバーしています。

しかし、仕様がクローズなためにSIGFOXの後に登場したオープンなLoRaWANのほうが日本では優勢な感じがしていました。

と思いきや、この11月に登場したのがSIGFOXを日本で手がけるという企業が出てきたりしています。KCCS(京セラコミュニケーションシステムズ)という会社で、名前の通りKDDIの基地局にも関わっている企業ですね。

IoTが盛り上がる理由、センサーメーカーにもメリットがある

今や色々な企業が「これからはIoT」と言っています。口を開けばIoTと言ってもいいくらいです。

こういう言葉は大体がIT業界界隈から登場するバズワードで、しばらくすると何事もなく消え去っていく宣伝文句だったりしますが、IoTはバズワードで終わる感じはしません。ビッグデータはバズワードに終わった感がありますが(笑)

その大きな理由は、IoTはセンサーを作るメーカーにも大きな影響があるからです。

IoTには情報を処理する基盤(クラウド)だけでは、データ収集のための末端のセンサーが必要なので、センサーメーカーの役割が欠かせません。

IoTはセンサーメーカーにとっても商売のタネになるため、彼らもこの波に乗り遅れまいと必死に取り組み始めたのです。従来は「ビッグデータ?何それ?」と乗ってこなかったプレイヤーが参画したことがバズワードで終わらない大きな理由でしょう。

私が思うIoTネットワークの主導権争いの本質

そんなこんなで今や色々な企業がIoTと言っていますが、一体何が違うのでしょうか。

伝送距離や通信速度、利用周波数帯の違いはあちこちにあるのでここでは詳細に触れませんが、IoTに関わるニュースとそこに登場するプレイヤーを見ていて思ったのが、やっぱり

既存の携帯キャリア vs 新興勢力

なんだなということ。

LoRaWANとSIGFOXは通信事業免許不要同士で競争が激しくなるはずです。一方で、免許が必要、かつ既存のLTE網の設備の拡張方式のNB-IoT(Narrow Band IoT)という選択肢も持つ既存の携帯キャリアとの競争も激しくなるはずです。

LoRaWANとSIGFOXを推進する新興勢力は、キャリアが構築しようとしているNB-IoTとも戦わないといけません。

とはいえ、携帯キャリアが必ずしも優位というわけではないのがイノベーションのジレンマというやつです。

携帯キャリアは新興勢力を気にしているはずで、彼らが採用するLoRaWANゲートウェイが脅威になる可能性が大いにあると思っています。

LoRaWANが携帯キャリアにとって脅威の可能性、あると思います

LoRaWANの大きな特徴として、LoRaWANゲートウェイを使ってプライベートなネットワーク網として構築することができます。Wifiのような手軽さがあるんですね。

厳密にはまだ実証中のところがほとんどですが、これは時間の問題で、まずは一企業が自らの裁量の範囲で構築するプライベート網として導入されていくだろうと思います。

そういう普及の仕方を後押しするように、LoRaWANネットワーク構築サービスを提供し始めた会社もいます。LoRaWANネットワーク構築サービスの提供をマクニカネットワークス社が発表しています。

ただ、これが一企業のプライベート網に限らず、将来的にはキャリアの携帯網とは違うローコストネットワーク網として公衆網として普及すると思っていて、それが既存の携帯キャリアにとって脅威になりうるところです。

LoRaWANゲートウェイというのは、ゲートウェイからインターネットに抜けるまでの経路に、携帯基地局を経由するパターンもありますが、経由しないパターンもあるんですね。

今後LoRaWANが普及していくなかで携帯基地局を経由しないLoRaWANネットワーク網が増えていく、経由しない部分で完結してしまうということも出てきます。

そうなると携帯キャリアとしてはたまったものではありません。キャリアもそれを気にしているはずで、自前のLTE設備の拡張方式のNB-IoTを進める動きを見せています。

NB-IoTでの実証実験を公開したソフトバンク

とはいえ、LoRaWANは既存の携帯キャリアも当然扱えるので、携帯キャリアも現時点ではNB-IoTに集中というわけではなく、LoRaWANも実証実験をしようとしているのが伺えます。

ソフトバンク、静岡県藤枝市との実証実験

リリースを見ると、NB-IoT、LoRaWANのどちらも記載があるので、この実証実験で各々の規格の特性を把握し適材適所に設置していくということもあるのでしょう。既に組み合わせ方のノウハウが現場にはある程度たまっているかもしれませんね。

もう一つ忘れてはならないのが、SIGFOXですが、KCCSがSIGFOXで販売しようとしているのは一式10億円〜みたいな金額だったと思うのでキャリアばかりを見ている感じが否めません。

IoTのネットワーク網にそれだけの金額を投資できるのは自動車メーカーくらい大きな企業や大手企業グループに限られるはずです。

その点、LoRaWANは一般企業向けにもプライベートなIoTネットワークを提供しようという志向が感じられます。

どちらにせよ、LoRaWANやSIGFOXで勝負を仕掛けてくる新興勢力とそれらの規格に加えてNB-IoTも合わせ持つ既存の携帯キャリアとのIoTネットワークの主導権争いということだと思います。

数年後には、IoT用ネットワークに特化して影響力を持つネットワークサービサーも存在している気がします。

進むLoRaWANゲートウェイの実証実験

ちなみに、LoRaWANの設置イメージはこんな感じです。

a17b164b-167d-4791-b250-c9d1b2f8a2f6

(出典:日経ITpro、菱電商事が自社社屋に設置した様子)

これくらいのサイズ感です。これくらいであれば、設置スペースで大きく問題なることはなさそうな印象です。

LoRaを開発したIBMも日本でどんどん実証実験を始めているらしく、中部電力との実験では携帯電波も届かず家庭用電源(低圧電源)もない通信も電源もない山間部での通信手段として使えそうな手応えがあるとのこと。

最後に、IoTでどんなことが便利になるかその一端を伺える事例の動画があったのでご紹介。

スペインのバルセロナ市の事例ですが、レンタサイクル一つ一つにGPS情報が付いていて自転車の位置情報と駐車情報を把握しているようです。

これだとたぶん乗捨てもできそう。レンタサイクルやレンタカーは大体は借りる場所と返す場所が同じ。通信は現状はWifi通信らしいです。

Microsoft発表の導入事例なので「SQLserver使ってます」「基盤はAzureです」といった話が主体で、位置情報を飛ばしているデバイスが何なのかは不明、ネットワークもスペインだったら、SIGFOX使っているんじゃないかとか思ったりするんですが不明です。このあたりは分かれば、追々書いておきます。

スポンサーリンク

シェアする

フォローする