ANAに抵抗を示すスカイマーク、システム共同利用という劇薬

ANA(全日空)から出資支援を受けて経営再建中のスカイマーク、共同運航の予定がずれ込んでいるらしいです。

経営再建中のスカイマークが今年10月からの冬ダイヤごろに始めるとしていた全日本空輸との共同運航を、先送りすることが24日分かった。全日空が共同運航の条件として同社の予約発券システムの導入を求めているのに対し、経営の独立性を保ちたいスカイマークが難色を示しているため。

スカイマーク 全日空との共同運航を見送り 2016/01/24 日経新聞

このスカイマークの動きについては「そりゃそうだろうな」という感じです。システムを共同利用するとなると、確実にANAに経営の主導権を握られますから。

この記事で書かれている「予約発券システム」を共同利用するとなると、そりゃもうANAにおんぶに抱っこ状態に近い将来なります。

「予約発券システム」といえば実務上肝心要の部分のはずです。

コアシステム共同利用=依存する、ということ

航空会社ですから、予約発券システムはそりゃもうコアシステムのはずです。

予約発券システムは乗客が予約を申し込むのに使うフロントのシステムのはずです。乗客の予約のみならず、旅行会社からの大量の数の予約発券を捌くシステムであるはずで、これを他社に依存することは望ましくないです。

ANAに依存してしまえば、システム変更(=業務変更)のたびに、スカイマークはANAに合わせる必要が出てきます。

これは実務上の問題だけではありません。「ANAなしでは実務が回らない」くらいに依存してしまえば、経営的にも首根っこを抑えられることになります。そうなれば、スカイマークはもう完全にANAの子会社になってしまいます。

この条件をスカイマークが飲むとなると、日本の航空業界は、JALとANAという二大グループの競争になります(もうほとんどそうなっていますが・・・)。

僅かばかりですが、第三極としての活躍が期待されていたスカイマークの存在意義というのがなくなります。

LCCのピーチもバニラエアもANAの子会社

案外知られていないことですが、日本のLCCの筆頭格である関西空港拠点のピーチアビエーションもANAグループです(約40%出資)。

成田を拠点とするバニラエア(100%完全子会社)もANAグループです。

乗るだけであればどうでもいいことかもしれませんがね。逆に大手グループだから機体点検等の整備もきっちりしていて安心だというメリットもあります(そういえば、スカイマークは機体トラブル多かった・・・)。

ピーチもLCCとして私自身応援しています。現に私も乗ったときにはピーチはすごく賑わっていました。ジェットスター(オーストラリアのカンタス航空)にも同時期乗りましたが、乗客が多かったですし、日本人のCAさんが多かったので乗客も気兼ねなくCAさんとコミュニケーションをとっていた感じです。もう3年も前の話ですが。

そう考えると、スカイマークのような第三極はいらないんじゃないかとも思います。しかし、当時はスカイマークはまだ元気ではあったと思います。経営破綻の原因ともなった例のエアバス大量発注による巨額負債も抱えていませんでしたから。

そういった競争環境にあったから、サービスは日々改善されていくわけであってJALとANAの2強だけになると、少し心配になるものです。

シェアする

フォローする