GoPro版ドローンがいよいよ登場しました。
名前は『GoPro Karma』
GoProがドローンを作っているらしいということは数年前から既に話題になっていて心待ちにしていた人も多いのではないでしょうか。
ドローン業界で確固たる地位を築いた中国のDJI社(Phantomシリーズが有名ですよね)へ過去買収提案をして断られたことも一時話題になりました。
DJIに断られて自社開発の道を進みようやく形になりました。
【2016/11/21追記】
GoPro Karmaが発売後1ヵ月で全数リコールになったようです。日本は未発売でしたが、輸入して買おうと思った方は少々待ちましょう。
注目ポイント
GoPro Karmaの発表を見ましたが、個人的には非常に良い出来だと思っています。
ドローンを使うにあたって感じる不便をGoProらしく解消してくれています。
僕が注目したのは大きく2つ。
「コンパクト性」「スタビライザーが標準セット」
コンパクト性
まずドローンって結構でかいのです。ドローン本体もなかなかのサイズですが、ドローンはプロペラが折れないように緩衝材も必要になってきますので、それを収納するケースはそれなりのサイズになります。
どれくらいのサイズになるかというと、例えば、航空機の国内線の機内持込の手荷物を例に考えてみます。
JALもANAも100席以上の旅客機では3辺の合計を115cm未満に抑える必要がありまますが、一番売れているDJI Phantomの専用のケースとして以下のようなアルミケースタイプのもので「57 x 42.5 x 30 cm」と3辺合計が129.5cmとなり機内持込NGのサイズです。
他にはショルダータイプのものがありますが、 こちらのサイズは「50 x 38 x 24 cm」と3辺の合計が112cmとギリギリ機内持込可能なサイズになっています。
これくらい大きくてかさばるのです。
これを持ち運ぶのですから「今日は本当に使うかな?」と結構考えるはずです。始めからドローンを飛ばすことを考えている人であればいいでしょうが、それはドローンオタクの人であったり映像を生業にしていたりする人に限られます。
登山だとかスノボ、自転車の趣味がある人が「何か面白そう」と思ってついでに持って行って撮って遊んでみようという手軽さが大事なのです。
この手軽さのためにはコンパクト性が重要な要素で、その点、GoPro Karmaは折りたたみが可能で非常に省スペースになっています。
GoPro Karmaの手軽さという明確なコンセプトはとてもGoProらしいですよね。
GoProはアクションカメラという分野を切り開いたパイオニアで、これまでは映像として記録されることがなかったスポーツや日常の映像を撮影できる手軽さがハイアマやアーリーアダプター層に受けました。
GoProを楽しんでいるのは、カメラ好きばかりではなく、サーフィンだとかを楽しむ人たちでもあるのです。
そういった人たちが好きなことをより楽しんでもらうためという観点でGoProにドローンを取り入れたという感じがしますね。
スタビライザーが標準セット
スタビライザーというと、カメラ好き、ガジェット好きの方の中では今や定番となった感がありますが、手ブレ補正をしてくれるもので、水平が保たれたヌルヌル動画を撮りたいときに大活躍します。
僕もGoProが付けられるこういうやつを持っています。
他にもスマホを付けられるタイプのものもあったり
専用のカメラが一体となったものもあります。で、この4Kカメラがまた十分綺麗なんですよ。
スタビライザーの一番人気は上のDJI OSMOシリーズです。作っているのはドローンのPhantomと同じメーカーのDJI社です。
以前は一眼カメラにスタビライザーを付けて撮影するのが動画制作者の中で流行していました。ステディカムマーリンやグライドカムHDシリーズといったやつですね。
そこから進んで今やGoProというアクションカメラを使って手軽にスタビライズやっちゃおうぜ!というかこれだけで十分じゃね?!というムーブメントがあります。
そんなスタビライザーがセットで付いてくるんですが、ご紹介した通り、スタビライザー自体は今や珍しいものでもありません。
が、これをGoPro Karmaはドローンと標準セットにしているのがミソです。
というのも、ドローンはバッテリーが全然持ちません。
どのドローンもバッテリー1個あたり20分くらいです。DJI Phantomもそうですし、僕が持っているAR Drone 2.0でも20分でした。
しかも、バッテリーの持ち時間というのはそこまで精緻なものではないため、20分きっかり撮れるものではなく気象条件等でも変動するものです。
そのため、ドローンを使うときにはバッテリーが大量に必要となります。僕も2つは持っていましたが、それでも40分しか飛ばせません。あっという間の時間です。
このようにドローンを楽しめる時間というのは意外と短いものなんです。
1点目に挙げたコンパクト性とも関わりますが、大層な荷物を持ってドローンが飛ばせるところに行っても20分しか飛ばせないってなかなかの徒労感です。
そういったことも考慮して作られたのがGoPro Karmaなんだと思います。
ドローン以外にも遊びの選択肢を用意しておく、GoProをドローン以外にもスタビライザーを付けて遊んでもらえば退屈しないし、もっと面白くなるじゃん!ってことだろうと思います。
この点は動画でもとくに言及がありませんでしたが、きっとそういったことも考え抜かれているはずです。
素晴らしいネーミングセンス
相変わらずGoProはネーミングセンスがとてもいいですよね。
GoProのHEROシリーズは「誰でもヒーローになれる」といったブランドメッセージが込められていて「自分が主役の映像を撮れた」わけです。
今回のKarmaは、よく業だとか輪廻転生といった意味ですが、「世界を(俯瞰的に)撮影した映像を通じて追体験できる、それは人間の特権だ」というメッセージが込められているようです。
確かに、ドローンからの空撮映像というのは世界を天から俯瞰して捉える行為であって、それはKarmaという人間の万物への欲求が表れた概念と相性がいいように思えますね。
一方で、GoPro Heroシリーズは世界をミクロにつぶさに捉えるアクションカメラであって「神は細部に宿る」という言葉が思い出されて、よくできたブランドだなと思います。
本当にコンパクトなのは地味に重要です。
僕はAR Drone 2.0を持っていますが、今箱の外周を測ると「57 x 57 x 14cm」と合計128cmありました。
大阪は場所の問題(大阪市内の公園では全面禁止)もありますが、このサイズ感が億劫でしてもう2年近く飛ばしていません。。
最後に、懐かしい映像を。。。
改めて見るとブレがすごいですね。
当時はこのブレ具合よりも感動のほうが大きかったのですが、その後DJI Phantomの安定した高解像度の映像を散々見た今となってはだいぶしょぼく見えます。。